IT業界の人材の実情と今後求められる「DX人材」とは?
~高まるDX人材の需要。DX人材の育成に向け企業は何ができるのか~
DX人材の育成の為に自分自身・企業がとるべき行動は?
(i)基礎的なIT知識を身につける(個人としての入り口)
DX人材となるために、まずは書籍・オンラインでの学習を行なったり、目標としてIT関連資格取得を目指すのもよいだろう。
以下に代表的なIT資格を挙げていく。
<IT関連資格の例>
目次
IT業界の人材不足と今後の予想について
まず「IT業界の人材」という言葉の定義であるが、一般的にイメージされる「エンジニア」「プログラマー」のみならず、システムの保守・運用を行う人材を含め、ここではITサービスに係る人材のことを指すとする。
近年「AI」「IoT」などITに関する言葉を耳にする機会が多くある。IT業界は流行の技術の移り変わりのスピードが速く、非常に変化の激しい業界である。そのため各技術に対応する人材の需要が常にあり、慢性的な人材不足がなかなか解消されない。この人材不足がIT業界の課題となっている。
今後の予測として、これまで同様に市場規模が拡大する一方で、市場の成長スピードに対して人材の確保が追い付かないという事態が発生するだろう。その為、今後も人材不足から、業務の担い手がいなくなってしまうことが見込まれる。企業側の目線として、既存業務の効率化・自動化に加え、新しい技術に対応できる人材をいかに確保するのかが課題のひとつである。
現状のIT業界の状況・人材不足の原因
人材が不足する原因として、そもそもIT業界に就職する人材が少ないこと挙げられる。
「きつい」「給料が安い」「帰れない」といったいわゆる3Kのイメージが原因であるとの声もあるが、原因はそれだけではないと考える。
事実、小学校でプログラミング養育の必修化となり、プログラミングを学びたいというニーズは増加傾向にある。ではなぜ人材不足が発生するのであろうか。
原因としては下記の2つがあげられる
①そもそもの人材の母数が少なくなっていること
②人材育成のスピードが追い付いていないこと
①については少子高齢化を原因として、若年層の人口が減少することが単純に人材不足へとつながる。人材不足という課題に対しての対策の為、コストの削減や人材リソースを確保する為、オフショア開発を行うITベンダーが増えており、システムの運用・保守業務についてはAI技術を用いた自動化が進められている。
②については、先にも上げたが、成長の早い市場において、ニーズのある技術の移り変わりが早いことから、対応できる人材が足りてないことが理由としてあげられる。対策としては、企業単位でのIT人材の育成を行うことである。その育成の中で単なる従来型IT人材(ITシステムの受託開発や保守・運用サービスなどに従事する)だけでなく、先端IT人材(DX、ビックデータ、IoTなどの先端IT技術に携わる人材)といった、今後さらなる需要の見込まれる人材をいかに育成できるかが重要となってくるであろう。
※出典:経済産業省 平成30年「IT人材需給に関する調査」
ITの人材不足にために何ができるのか・DX人材とは
では、具体的に企業は今後どのような人材を育成するべきなのか
結論、それは「DX人材」である。「DX人材」はいわゆるエンジニアなどの技術者のみの話ではない。
DXとは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略であり、デジタル技術を活用した業務改革や企業改革を意味する。
今後求められる「DX人材」とはエンジニア・営業の枠にとらわれず、「DXを加速・推進可能とする人材」である。つまりは企業がAIやデータを駆使し、ビジネスモデルの変革を進める中で、そういった動きに対応できる人材の事を指す。
上記の図のようなDXに伴う様々なフェーズの中で求められるスキルは異なる。詳細は次回以降に挙げていくとし、今回はこのようなDX化の進む社会の中で、個人・企業単位で何ができるのかという入り口の部分を述べたい。
ITパスポート | これからITに携わりたい人請の入門編としておすすめ、基礎知識となるもの |
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MOS | マイクロソフトオフィススペシャリスト |
基本情報技術者 | 中級者向け、ITパスポートより実践的な内容となる |
応用情報技術者 | 基本情報技術者よりも難易度が高く、応用できる知識を習得できる |
ITストラテジスト | IT戦略立案・コンサル知識の習得を目指すもの |
プロジェクトマネージャー | プロジェクトを管理・運営・推進するの知識の習得ができる |
オラクルマスター | 4段階あり、ITエンジニアとしてデータベース・SQLのスキルの証明となる |
CCNA | Cisco技術者認定の1つ |
LPIC | 「Linux技術者認定試験」3段階あり、Linux・サーバー周りのスキルが身につく |
情報処理安全確保支援士 | サイバーセキュリティに関する専門的な知識が身につく |
データベーススペシャリスト | 情報システムの企画や要件定義~保守を行うインフラ系のエンジニア向けの資格 |
システムアーキテクト | 業務の分析や要件定義・外部設計といったエンジニアとして |
(ii)社内勉強会・OJTの機会を与える(企業が社員に対して与える入口)
DX人材を育てるには、書籍やオンライン学習で知識を身につけるだけでなく、実際に現場で経験を積ませることが大事である。OJTを通して学んだ知識を復習し、実践できることが大きな成長につながる。実践の中で自信がつくと、さらなるモチベーションが生まれ、個人だけではなく、社内全体にも相乗効果をもたらす。
顧客の課題解決を目指すプロジェクトの中でDX化の推進役を担うという為には、先ほども述べたようなスペシャリストとしてのスキルが求められる。
最後に
今後は各種先進技術に対応できる「DX人材」や、各種プロジェクトマネージャー、新事業開発関連の「DX人材」が最も不足すると見込まれている。DX人材、つまりは、データとデジタル技術を活用して、業務改革や企業改革を担える人材が必要とされていくだろう。こういった「DX人材」を育成するために、企業としてこれまで述べてきたようなDX人材の育成をいかに行っていくかが課題となる。DX人材には「プロジェクトマネージャー」、「デジタルプランニング人材」、「アーキテクチャー」、「データサイエンティスト」などの例があるが、次回以降の記事でそういったDX人材の詳細や役割を述べていく。